湘南に蝶を求めて 宮田昌之(32)
身近な湘南の蝶でありながらなかなか
見られない皆さんが興味を持っていただけそうな希少種の写
真を中心に画像処理してみました。
ミヤマカラスアゲハ春型、大磯町生沢、2009.4.23
稀に三浦半島での記録がありますが、県内低地で確実にこの蝶が見られるのは大磯町だけです。
大磯の蝶を特徴つける美麗種です。
ミヤマカラスアゲハ夏型、吸水、大磯町生沢、2010.8.16
ゴイシシジミ、平塚市土屋、2010.9.19。
幼虫は珍しく食肉性でササ、タケにつくアブラムシを食べて成長します。近年、茅ケ崎、藤沢鎌倉などの棲息ポイント
では確認されず、
昨年は県内での棲息記録は4か所のみとなってしまいました。アブラムシがいなくなったのでしょうか。)
県内での絶滅が危惧される種となり気懸りです。
ウラゴマダラシジミ、大磯町国府本郷、10.6.3
湿り気のある谷戸などのイボタで発生します。茅ケ崎では近年記録なし、藤沢でも極めて
稀ですが大磯では健在種です。
ウラナミアカシジミ、大磯町国府本郷、2010.6.15
湘南では藤澤には棲息していますが近年記録は極めて稀になり、大磯、平塚では健在ですが
個体数は減少傾向のようです。食樹のクヌギ林が縮小していることが影響しているようです。
オオミドリシジミ交尾、大磯町浅間山、2008.6.14
茅ケ崎では近年記録なし、藤沢は記録されてはいますが個体数は少ないようです。大磯丘陵では6月中旬多数の
個体が見られます。
早朝8時〜9時にかけて乱舞する様は見事です。個体数が多いのはコナラの雑木林が発達しているためで、
ミヤマカラスアゲハとならび大磯名物の蝶といえるでしょう。
トラフシジミ、茅ケ崎市堤、2008.3.23
湘南各地にも棲息しますがいずれの棲息地でも個体数は少ない蝶です。フジ、クズなどを食草としていて県内各地に
広く分布します。(春、夏年2化)
トラフシジミ、大磯町生沢、2009.4.18
コツバメ、大磯町黒岩、2010.4.13
大磯では一昨年3月に40年振りに1頭確認されました。引き続き前年も4月に1頭確認出来て驚いています。
年1回春発生、県内では主に県北で見られますがいずれのポイントでも個体数は多くはありません。
(横浜市青葉区に棲息地があるのは面白いこと、食草はツツジ科、どこにでもありますが)
ヒオドシチョウ、大磯町黒岩、2008.3.16
湘南での棲息地は大磯丘陵のみでこのところ減少傾向の蝶です。成虫で越冬します。越冬後の春先や5〜6月の
発生時季に見られる蝶です。
(県北ではよく見かけられます。)
スミナガシ、平塚市矢沢、1999.7.25
大磯丘陵北部の平塚市矢沢で1999年に撮影した写真です。湘南ではその後見たことがありません。県内では丹沢や
県北などに広く棲息していますが、(特に低地部での衰退が目立ちます。)
オオムラサキ、大磯町生沢、2009.7.4
オオムラサキ、大磯町生沢、2010.7.2
オオムラサキ大磯町・生沢、2009.7.4
(面積が広い雑木林が必要な種で)藤沢、茅ケ崎では1960年代に絶滅しました。大磯では特定の地域で年に
数頭見られる程度の希少種です。(県内の棲息地も限られていて)県の準絶滅危惧種に指定されています。
アオバセセリ、大磯町虫窪、2009.4.23
大磯では2005年夏以来、この写真が2度目の撮影です。(いずれも1頭のみ丹沢方面から飛翔してきた
個体化もしれません。)鎌倉にも棲息地がありますが個体数は少ないようです。
(藤沢、茅ケ崎での記録はないようです。県北や丹沢周辺などには広く棲息しています。)
ミヤマセセリ、大磯町黒岩、2010.4.25
湘南では大磯丘陵のみに棲息しています。春1回3〜4月に発生、大磯町では個体数は少なく年数頭見られるだけです。
(県北では個体数も多くて春の山歩きを楽しませてくれる蝶です。)
ギンイチモンジセセリ、相模川河川敷、寒川、2009.4.15
河川敷のオギ、ススキなどで発生する蝶で湘南では相模川などにポイントがあります。藤沢の引地川河川敷での記録もあります。
(県東部では鶴見川にも棲息地がありますが)棲息地が限られていて県の準絶滅危惧種に指定されています。
ホソバセセリ、平塚市土屋、10.7.14
湘南では(藤澤、茅ケ崎では絶滅してしまい)大磯丘陵北部の平塚市土屋地区でしかみられない希少種です。
県内での棲息地も限られていて個体数も少ない蝶で県の絶滅危惧種に指定されています。
(雑木林の林縁の高所で人の手が届かない崖地のススキなどで発生しています。)